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まだ、開発中のシステムだそうですが、JAPAN e-Portfolio、が、文科省からの運営許可を取り消しになる方向だそうです。
高校生が、ボランティア活動などの課外活動を記録し、大学受験の際の参考に用いる、というシステムだったのですが、わたしは、その制度やシステムに危惧を持っていました。

大学入試において、生徒の能力や成果を多角的に評価する、というのは望ましい方向とも思われるのですが、それが、客観的に妥当性を持った評価ができるのか、という不安があるのも事実です。

日本の大学は、諸外国の大学と比べて、入試は大変だが、入ってしまえば、全員卒業できる、という運用になっていると、思います。ここの改善が必要だろう、と、わたしは思っています。
なので、多角的に評価すると言って、歪んだ制度を導入するよりも、もっと、入試での評価は緩めにして、大学入試の門戸を広げ、入学後の単位習得や進級判定が厳しい、卒業するにはかなりの成果が求められる、という大学制度のほうが望ましいのではないか、と、わたしは思います。


NHKのニュースサイトから


大学入試の新システム 運営許可取り消す方向で調整 文科省

高校生に、学習した内容や部活動の実績を記録してもらい、大学入試で活用する新たなシステムについて、文部科学省は、これを運営する一般社団法人への許可を取り消す方向で調整していることが関係者への取材でわかりました。このシステムは、およそ18万人の生徒が利用していることなどから影響が懸念されます。

文部科学省は、高校生に学習した内容や、部活動の実績、さらに、ボランティアなどの活動を、ポータルサイトに記録してもらい大学入試などに活用する、「JAPAN e-Portfolio」と呼ばれるシステムの開発を進めてきました。
このシステムは、去年から一般社団法人の「教育情報管理機構」に運営が任され、今年度の入試から本格的に導入される予定でしたが、関係者によりますと、入試に利用する大学が少なく、財政上の安定が見込めないことなどから、文部科学省が運営許可を取り消す方向で調整していることがわかりました。
すでに、全国およそ18万人の生徒がこのシステムを利用していることなどから影響が懸念されます。
このシステムをめぐっては、生徒がポータルサイトを利用する時に、教育産業大手の「ベネッセコーポレーション」のIDを取得する必要があることが明らかになり、萩生田文部科学大臣も、ことし2月、運用の見直しに言及していました。
国が進めてきた大学入試改革は、大きな柱だった英語の民間試験と記述式問題の導入が、すでに見送られるなど、混乱が続いています。

運営許可された事業とは
「JAPAN e-Portfolio」というシステムは、国が大学入試改革の一環として、主導して開発を進めました。
このシステムはこれまでの筆記試験では、測定が困難とされた生徒の「主体性」を評価することが目的でした。
その運営は、去年から一般社団法人、「教育情報管理機構」に任されました。
この機構は、東京駅に隣接するビルに事務所を構えていて、会長は、金沢大学の山崎光悦学長が務め、国立大学協会の会長となっている永田恭介筑波大学学長らが、役員となっています。
機構のシステムの運用は、教育産業大手の「ベネッセコーポレーション」が担っていますが、生徒が学習内容などを記録する時に、ベネッセが発行するIDを取得する必要があったことから、教育現場から、「企業への利益誘導につながるのではないか」などと懸念する声があがっていました。
萩生田文部科学大臣も、ことし2月、運用の見直しについて言及し、文部科学省が、機構に是正を要請していました。

受験生は制度の変更や中止に翻弄
大学入試に詳しい東京大学大学院教育学研究科の中村高康教授は、「『主体性』を測ることは、部分的には可能かもしれないが、生徒のあらゆる活動が入試を意識した高校生活になってしまう懸念が生じる。そういったシステムが本当によいのか、生徒の大事な個人情報を適切に管理できるか、議論が甘かったのではないか」と指摘しました。
そのうえで、「生徒の秘匿性の高い情報を入試で扱うという公共性の高い仕事を、民間に運営させるのであれば厳しい審査があってしかるべきだ。入試改革の柱と言われた制度が中止や延期になったことを、文科省は検証しなければいけない。今の受験生はその制度の変更や中止に翻弄されてきた。できるかぎり、丁寧に説明することが必要だ」と話しています。