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黒川東京高検検事長の定年延長、そして、賭け麻雀常習の週刊誌報道を受けての辞任、と、続けざまに起きた「事件」は、検察庁、検察官たちに、将来に大変な禍根を残すことになったのではないか、と、不安に思っています。

検察組織が弱体化すること、については、国民主権ということからみると、どうとればいいでしょうか。
経済力のある財界のバックアップを受けた、巨大な与党の政治家たちが、利権を巡って、主権者である国民の存在を忘れる、というようなことがある場合に、その汚職構造にメスを入れるのは検察しかない、のでしょうか。
巨悪と戦うことを覚悟した検察には、国民の幅広い支持がなければなりません。それは、シビリアン・コントロールそのもの、ということになるかもしれません。アメリカのように、選挙で検察官を選んだり、独立検察官、という特別な職種がなくても、日本の検察組織の民主的コントロールは可能でしょうか。

調査報道による新聞マスコミの社会的責任の発揮、それを受けての国民の知る権利の尊重、が、きちんと行われれば、検察の力は弱まってもいいかもしれません。

黒川氏の後任として、東京高検検事長に就任した林氏が、今度は、次の検事総長に転任するのでしょうか。法務省、検察庁の当初の予定通りに。

しっかりと経過をみておきたい、と、思います。

いずれにしても、次期検事総長の責任は重いです。
ガタガタした検察組織の立て直しのほか、安倍内閣が退陣した後、いろいろな問題が噴出してくると思います。
それに対して、きちんと対応しないと、検察への国民からの支持がなくなります。すでに、「桜を見る会」の前夜祭での問題が、東京地検に告発されています。


毎日新聞から

東京高検検事長、後任に名古屋高検検事長の林氏 黒川氏の辞職受け 法務省

 法務省は25日、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言中に新聞記者らと賭けマージャンをして辞職した黒川弘務・前東京高検検事長の後任に、林真琴・名古屋高検検事長を据える人事を決定した。発令は26日。林氏は検事任官同期の黒川氏の定年が延長されるまで稲田伸夫検事総長の後任と目されており、63歳で検事の定年となる7月末までに検事総長に就任する可能性がある。

 林氏は法務省刑事局長を2014年から4年間務め、2017年に「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法が成立した際の国会答弁に当たった。2010年に大阪地検特捜部による証拠改ざん事件が発覚した後には、最高検などで検察改革の指揮を執った。
 検事総長の任期は近年は慣例でおおむね2年とされ、法務・検察は、今夏にも検事総長就任から2年となる稲田総長の後任に林氏を起用する構想を描いていた。だが、政府が1月、2月に定年退官予定だった黒川氏の定年を半年延長する閣議決定をし、一転して黒川氏が次期総長候補に本命視されるようになった。検察官の定年延長は例がなく、「首相官邸に近い黒川氏を次期総長に据える恣意的人事」との批判につながった。
 週刊文春のウェブサイトが20日、黒川氏が新聞記者らと賭けマージャンをしていた疑惑を報じると、黒川氏は事実と認めて辞職願を提出。黒川氏は検事総長による監督上の措置である訓告処分を受け、政府は22日の閣議で辞職を承認していた。

林 真琴氏
 東大卒。1983年検事。法務省刑事局長を経て2018年1月から名古屋高検検事長。62歳。愛知県出身。