images地政学という「学問」があります。
その言葉を政治家や権力者が使うことがあります。
自分たちの外交戦略や防衛戦略について、国民に説明するときに使われます。

「地政学的リスクに対応するため」

民主主義の社会では、政治家や権力者が、主権者である国民に、その政策の説明責任をきちんと果たすことは、基本的に必要なことなのですが、そのとき、この言葉が使われることがあります。

地政学という「学問」の内容は、科学的な立証が困難であることが多く、単なる主観的な主義主張に、「学問」としての根拠やお墨付きを与えることになりかねない、そんなリスクがあるのです。

つまり、地政学的「リスク」というのは、実は、「地政学的リスクがある」という主張によって行われる、短絡的で一方的な、そして、近視眼的な単純思考による、乱暴な政策で発生しかねない社会の悪影響のことだ、と、言うべきかもしれません。

その乱暴な政策の結果によって、最後に請求書がつけまわされるのは主権者である国民なのです。
場合によっては、国民の生命のリスクにつながることもあるかもしれません。

私たち主権者は、権力者がこの言葉を発したときには、注意深くその説明を聞く必要があり、それを支持するかどうか、独立した個人として慎重に考えることが必要、と、思います。