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総理大臣が先頭に立って、熱心に働きかける、ということを否定するわけではありませんが、外交を得意と自認する安倍首相は、自民党総裁3選を目指すために、外交を活用しようとしていたと思われます。

北朝鮮から拉致被害者を取り戻す
ロシアから北方領土を取り返すことを確定する

この9月中に、このどちらかを実現したい、と、考えていたはずです。

プーチン大統領も、その国内支持基盤が磐石ではないようですので、その指導力に期待してもなかなか難しい、と、思われます。
また、北方領土の返還交渉の対ロシアの当事者は、日本ではなくて、実はアメリカ、かもしれません。残念ながら。アメリカの了解なく、ロシアから北方領土を取り戻すことは困難なように思われます。

今回の会談では、昨年9月に合意した事項の再確認をしただけで、実際に共同事業を行うにあたり重要な、主権に関する取り決め、は、議題にすらできなかったようです。

そもそも、プーチン氏は、安倍首相を2時間半、待たせたようです。


読売新聞から


プーチン氏、また「遅刻」…会談2時間半遅れ

 10日の安倍首相とロシアのプーチン大統領の会談は、プーチン氏側の事情で、予定より開始が約2時間半ずれこんだ。

 プーチン氏は要人との会談で遅刻が多いことで知られている。今年7月にヘルシンキで行われたトランプ米大統領との米露首脳会談も約50分間遅れで開始。2016年12月に来日して安倍首相と会談した際には、日本への到着が3時間近く遅れたほか、2014年のドイツのメルケル首相との会談は約4時間遅刻した。
 このほか、英国のエリザベス女王やローマ法王フランシスコを待たせたこともあった。

毎日新聞から

日露首脳会談
共同経済活動実現へ工程表 領土進展なし

 安倍晋三首相は10日夜(日本時間同)、訪問先のロシア極東ウラジオストクでプーチン大統領と約2時間半、会談した。両首脳は、北方領土での共同経済活動で対象となる5項目を具体化するためのロードマップ(工程表)で合意。だが、領土問題については目立った進展はなかった模様だ。

 首相は共同記者発表で共同経済活動に関し「(北方領土)4島の未来像を描く作業の道筋がはっきりと見えてきた」と成果を強調。作業の調整のため民間調査団を10月初旬に派遣すると発表した。首相は日露平和条約が締結されていないことについて「異常な戦後がそのままになっている。私とプーチン大統領の間で終わらせる」と強調した。
 プーチン氏は「長年議論が続いている領土問題を一朝一夕で解決できないことはわかっている」と指摘したうえで「両国国民に受け入れ可能な解決方法を探すという意味で共同経済活動に着手した」と語った。
 5項目は、海産物の養殖▽風力発電▽ゴミ減容化▽温室野菜栽培▽観光--で昨年9月のウラジオストクで両首脳が合意。工程表では、養殖の魚種や野菜栽培の場所などを決める日程のめどや手順などが示された。
 ただ、共同経済活動を始めるには両国の主権をどう整理するかが課題となり、双方の法的立場を害さない「特別な制度」を導入することが前提となる。これまでの協議ではロシア側が制度導入に難色を示しており、今回の会談では議題とならなかった。
 一方、会談で首相はロシア軍の極東での軍事演習を「注視している」と伝えた。一方、ロシアは日本の陸上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の導入に反発しており、安保面での対立が領土交渉に影響を及ぼす可能性がある。
 ロシア側は、共同経済活動だけでなく、日本企業がロシア国内で大型事業に参入するよう促してきた。日本が医療分野の協力などを重視していることに「これでは十分ではない」(ロシア外交筋)と不満を漏らしている。ただ共同経済活動はもともとロシアが提案した経緯があり、交渉を破綻させる意図はないとみられる。ロシアは北方領土を管轄する極東サハリン州と北海道間を査証(ビザ)なしで移動できる枠組みを作るべきだとも唱えている。揺さぶりをかけながら、自国にプラスとなる材料を引き出す構えだ。
 会談では、北朝鮮の完全な非核化に向け緊密に連携する方針で一致。元島民の墓参の手続き緩和についてロシアが検討する考えを示した。日本は10月からロシア人観光客を対象に査証を緩和することを表明。両国の経済交流を促進するため租税条約発効のための公文を交換した。来年6月に大阪で開催される主要20カ国・地域(G20)首脳会議でプーチン氏が来日した際、首脳会談を行うことも確認した。