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検察や警察は、自分たちが作り上げた事件の「筋」に合う証拠だけを、裁判に提出し、「合わない証拠」「都合が悪い証拠」は、隠してしまいます。
それでは、冤罪事件が発生してしまうのは当然のこと。

しかも、裁判の経過で、弁護側からの証拠開示請求に対する検察官の反論を鵜呑みに認める、というような裁判官の姿勢が大きな問題となっている、と、思います。

今回、鹿児島地裁で、再審請求を認める決定がでましたが、検察側は抗告しているようで、本当の再審が行われるまでに、まだまだ、先が長い、ということになります。
そもそも、最初の再審請求でも、地裁が再審請求を認めたのに、高裁、最高裁と、それを認めなかった、という経緯があります。そのときの最高裁判所の裁判官たちは、大いに反省をしてもらいたい、と、思います。反省して、そして、検察側の不誠実な態度を改めさせる、ということが必要だと思うのです。

この国の刑事司法のあり方、かなり、人権侵害の要素がある、と、思っています。改善を強く求めたい、と、思います。



読売新聞から

大崎事件再審 自白頼みの脆い立証の結果だ

 新たな証拠で確定判決に疑義が生じた以上、再審の扉を開くのは、理に適かなった判断である。

 鹿児島県で1979年に発生した「大崎事件」で、鹿児島地裁が再審開始を決定した。殺人と死体遺棄罪で懲役10年の刑が確定し、服役した90歳の女性の第3次請求を認めた。
 決定は、有罪の根拠だった元夫ら共犯3人の自白の信用性を「捜査機関に誘導された疑いがある」などと否定した。元夫についても、遺族の再審請求を認めた。
 裁判官は「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則に沿って結論を導いたと言える。
 女性の義弟が絞殺され、自宅横の牛小屋に遺棄された。犯行は女性が主導し、元夫ら親族3人と共謀した、というのが、確定判決が認定した事件の構図だ。
 元夫らは、女性に犯行を持ちかけられた、などと自白した。女性は一貫して否認していた。
 地裁は2002年、女性の第1次再審請求を認めた。自白と遺体の状況が合致しない、との判断だったが、高裁がこの決定を取り消した。再審開始が再び認められた異例の経緯は、自白頼みの立証の脆さを物語っている。
 女性以外の関係者が既に死亡する中、今回の決定の決め手となったのが「供述心理鑑定」だ。公判での供述記録などに基づき、話し手の反応の仕方や聞き返し方などから心理状態を分析する。
 3人のうち1人から「殺してきた」と聞いたという義妹の証言がカギだった。鑑定は体験に基づかない話をした可能性を指摘し、決定は鑑定の証拠価値を認めた。
 義妹証言の信用性を突き崩すことで、自白の信用性も崩壊させる。弁護側の戦略が奏功した。
 裁判官には、自白偏重の立証に疑いの目を向ける傾向が強まっている。近年の再審開始決定では、DNA鑑定などの科学的な客観証拠が判断を支えている。
 その点で、供述の鑑定を根拠とする今回の決定は異質である。
 検察側は即時抗告を検討している。高裁の裁判官も、供述の鑑定を有力な証拠と捉えるのかどうか、が最大の焦点となろう。
 審理の過程で、検察は、実況見分などを記録した大量の写真を初めて開示した。「存在しない」と主張していたものもあった。地裁が積極的に証拠開示するよう促したのは、適切な対応だった。
 恣意しい的な証拠開示は、冤罪につながる。公権力を用いて集めた証拠は公共財である。検察はそのことを再認識せねばならない。