images勇気ある撤退を。

東芝だけでなく、日本全体で、脱原発に舵を切るべき、です。
東芝、東京電力、それに、文科省や経産省と、国全体で、きしみや悲鳴があがっています。

現場の意見や将来の見通しを無視し、誤った大方針を変更せずに突き進むと、いろいろな現場から、このような事態がどんどん起きてくるのです。

地にしっかりと足をつけて、曇りのない目で、現状をつぶさに観察し、将来を見据え、その結果、国の大方針をたてて、それに向かって努力をする。

それをしないと、あの「裸の王様」の話と同じになります。
イエスマンを周囲に並べて、ゆっくりと釜茹でになっているようです。最初はぬるく、暑くなってくることに気づかない、いや、気づかないふりができるのです。

今の政府の原子力発電政策は、明らかに国策を誤っている、と、私は思います。


朝日新聞から

東芝の原発事業、三つの誤算 建設コスト膨張、想定超す

 東芝が、原子力事業を巡って混迷を深めている。米国での原子力事業での損失は7千億円強に膨らみ、初の債務超過に陥った。米原発子会社ウェスチングハウス(WH)では、内部統制上の問題が浮上。14日に予定していた決算発表を延期する事態に追い込まれた。

 「買収時に認識していなかったコストの見積もりなど、三つの誤算があった」。綱川智社長は14日の記者会見で、米原子力事業での損失が7千億円強に拡大した理由について、こう説明した。
 「買収」とは、東芝の米原発子会社ウェスチングハウス(WH)が、米国で受注した原発4基の建設工事を手がけるCB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)を2015年末に買収したこと。遅れていた建設工事を前に進めて損失を防ぐ狙いだったが、工事コストの詳細な見積もりを入手したのは買収の後で、コストは予想を超えて拡大したという。
 二つ目の誤算は、S&Wの買収価格の事後調整で、東芝は前の親会社に損失を埋め合わせてもらえるとみていたが、交渉が進まなかったことだ。現在も前の親会社との訴訟が続き、決着は見通せていない。
 三つ目は、買収後に現場の作業効率の改善が想定ほど進まなかったことだ。買収時には30%程度の効率改善を見込んでいたが、結局、実現できなかった。

(引用終わり)


産経新聞から

原発撤退に政府警戒 廃炉・インフラ輸出に影響 国の支援には慎重論

 経営再建中の東芝が打ち出した原発事業の縮小方針に政府が警戒感を強めている。日本の原子力政策を支えてきた東芝が仮に「完全撤退」することになれば、東京電力福島第1原発の廃炉や、成長戦略の柱であるインフラ輸出への悪影響が避けられない。ただ、経営陣の危機感の乏しさが招いた危機だけに、国が救済に乗り出すことには慎重な声も少なくない。

 「国内の原子力事業、特に廃炉汚染水対策にも関係している企業だ。今後の対応をしっかり注視したい」
 世耕弘成経済産業相は14日の記者会見で、東芝の経営問題に懸念を示した。
 東芝は事故を起こした福島第1原発3号機の原子炉を製造した。現在も、汚染水から放射性物質を取り除く装置や原発内部を調べるロボットなどを納入している。今後本格化する溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)を取り出す作業でも中核を担う。
 また、巨額損失の原因となった米子会社のウェスチングハウス・エレクトリック(WH)は、海外で数多くの新規建設案件を抱えている。約30年ぶりに原発新設にかじを切った英国のムーアサイド原発に加え、中国やインドなど経済成長を背景に電力需要が増加する新興国でも受注する方向だ。
 原発輸出は「日本の質の高いインフラ」(世耕氏)を海外に売り込みたい政府の肝いり事業だ。昨年12月に英政府と原子力分野の協力を進める覚書を結ぶなど支援しているだけに、東芝が海外の新規受注を事実上凍結したのは痛手になる。
 政府が最も恐れるのは、東芝の原発撤退という「最悪」のシナリオ。技術者の流出が加速し技術基盤の維持が困難になりかねない。
 それでも、経産省幹部は「経営判断のミスが原因では、国が表立って支援できない」と漏らす。