フィリピンの大統領は、フィリピンの国民が決めること、なのですが、関係国の国民としては、ナショナリズムを背景に支持を広げる候補者には要注意です。
フィリピン
アメリカも中国も、同じことを感じている、と、おもいます。
この候補者が、実際に大統領に選ばれるかどうかは、私にはわかりませんが、選挙戦の間、ナショナリズムを強く主張する意見が社会に流れることになりますので、それだけでも、フィリピンの国内外に影響がある、と、心配します。

これから、フィリピンの国民世論を、自らの国益に合致する方向に誘導しようとするアメリカや中国の情報機関の活動が大きくなるはずです。

なお、フィリピンの軍隊や沿岸警備隊の装備の増強については、フィリピンの判断だけでは不可能です。アメリカの了承がなければ、なにもできません。

今後の動きをしっかりと見ておきたい、と、思います。

そして、フィリピンでの状況は、私たちの日本政府や日本社会にもあてはまることだろう、と、思います。
アメリカや中国が、フィリピンに対して行っているようなことを、もっと影響力の大きい、私たちの国や社会に対して、中立的で静観している、というようなことはありえないから、です。
もし、日本に対して、なにもしていないようなことがあれば、そういう活動をしている組織やその職員たちに対して、アメリカの納税者や利益関係者たちからの猛烈なクレームがあることになります。


朝日新聞から

「南シナ海に旗立てる」と中国挑発 比大統領選有力候補

 フィリピン大統領選(5月9日投票)の候補で、米不動産王トランプ氏張りの過激発言で人気の南部ダバオの市長、ロドリゴ・ドゥテルテ氏(71)が、南シナ海問題について「自ら水上バイクで中国が支配する島の近くに行き、(フィリピンの)旗を立てる」と述べ、中国を挑発した。24日夜、北部パンガシナンで行われた全候補者5人による公開討論会で語った。

 ドゥテルテ氏は元検察官。警察の取り締まり権限を強めて犯罪を減らした市長として知られ、米人気刑事映画のヒーローになぞらえた「ダバオのダーティーハリー」の異名を持つ。民間調査機関パルスアジアの最新の世論調査で34%の支持を集め、トップを走る。
 討論会で南シナ海問題について、「(中国を相手に係争中の仲裁裁判で)主張の正当性を確立する」と法的解決を図る考えを示したうえで、中国が仲裁を受け入れない場合は「私が島に行く。英雄になる覚悟がある。私が犠牲になる」などと述べ、会場から喝采を浴びた。
 パルスアジアの最新世論調査で2位(22%)の女性上院議員グレース・ポー氏(47)も「南シナ海は中国の私有物ではない。沿岸警備隊の船を増強する」などと述べた。