昨日、早めに仕事が終わったので、電車に乗って1時間、都会にあるインディーズ系の映画館にでかけてきました。
夜8時から上映されている「野火」を観るため、です。
この映画館に足を運ぶのは、三島由紀夫を描いた、故若松孝二監督の「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」を観に来たとき以来です。当時高校生の息子と中学生の娘を誘って、三人でみたのを覚えています。

「野火」

原作の大岡昇平の小説は、高校生のときに読みました。
暗い、つらいイメージの内容で、帝国陸軍の勇まさを感じるような読後感はありませんでした。

この暗い小説の映画化は、実は初めてではなく、二回目だそうですが、今回は、塚本晋也監督が主演もしており、第二次世界大戦末期のフィリピンの戦場をさまよう兵士の姿を描いています。

このような映画の製作費を集めるのも大変なのではないか、と、思いますが、それでも、たくさんの俳優さんが出ていましたし、フィリピンロケや戦場の迫力ある描写もされており、制作側の熱意と努力を感じました。
私は、故若松孝二監督を思い出しながら、映画を観ました。

主演の塚本監督の迫真の演技、特に、真っ黒な顔に、目だけが白く光る、亡霊のような敗残兵の姿、目に焼き付いて、離れません。撮影も編集も監督自身のようで、すばらしい渾身の作だと思いました。
戦争の現実を直視する、歴史をしっかりと見つめることの大切さを改めて実感しました。

そして、それを観るものに訴えかける映画という総合芸術の訴求力の強さを改めて実感しました。
上映されている映画館は、3Dの立体映像や臨場感ある音響などの設備が整った最新のシネコンとは異なり、小さなスクリーンの粗末な映画館でしたが、豪華な設備は関係ない、のですね。
もし、立派な映画館で、この「野火」を観る機会があれば、と、思いました。

安倍首相や、その政権を支える人たちも、この映画をしっかりと見てもらいたい、と、願っています。

このような映画が製作され、なんとか公開されていることについて、まだまだ、この国の民主主義は保たれている、と、安心もしましたが、アンジェリーナ・ジョリーさんが監督した「アンブロークン」は日本では公開できませんでしたし、安心していてはいけませんね。

私たちの社会で、私たちの固有の権利を守るのは、私たち自身なのです。