安倍首相が、ロシアへの訪問を取りやめたものの、プーチン大統領からの親書が届けられた、とのことでしたので、秋の訪日はまだ外交日程にある、と、思っています。
ただ、懸案の北方領土については、返還の進展はないだろうと、予想しています。

北方領土の問題が、日本の外務省の努力により、ロシア国内での政治案件になってきているのかもしれませんけれども、外務大臣が、ロシア国内の政府系の新聞に語った、とのことですので、日本を訪問中のロシア議会下院議長の政治行動を牽制する目的とも思います。

国民に知らせることで、領土の返還はより困難になると思います。どの国の国民も、自分の国の領土が狭まることを決断する政治家を支持することは困難だからですし、特に、ロシアは、歴史的に、領土拡大の意欲が強い国民性を持っています。ウクライナの問題もそうですが、シリア、アフガニスタンの問題もそうでした。

でも、ロシアの北方領土の占拠については、国際法上の問題でもあると思っています。
そもそも、当時の日本とソ連との間に結ばれていた、中立条約にも反しています。

しかし、連合国との間では、ソ連が日本から千島列島を占拠することを了承することが、ヤルタ会談で話し合われて、了承されているのです。その会議に出席していた国が、今、国連の安全保障理事会の常任理事国ですから。

安倍首相が唱えている、戦後70年の体制を変更すること、とても、困難な道です。



朝日新聞から

北方領土「日本に権利ない」 ロシア外相、地元紙に

 ロシアのラブロフ外相は19日公表されたインタビューの中で、北方領土問題に関連して「日本は第2次大戦の結果に疑いを差し挟む唯一の国だ」と日本を批判した。北方領土は第2次大戦の結果、戦勝国ソ連の領土となったのだから、敗戦国の日本には返還を求める権利はない――との考えを明確にした発言だ。

 インタビューは、政府発行のロシア新聞(電子版)に掲載された。
 北方領土問題の展望を問われたラブロフ氏は「我々はいつも日本人に第2次大戦の結果を認めているのかと聞く。彼らは『全体としてはそうだが、この問題については違う』と答える」と指摘した。

(引用終わり)

NHKのニュースサイトから

「日本は大戦の結果に唯一疑問呈している」

ロシアのラブロフ外相は、北方領土を巡り、第2次世界大戦の結果、ロシアの領土になったという姿勢を示したうえで、「日本は大戦の結果に唯一疑問を呈している国だ」として、戦勝国の立場を強調する形で日本を強くけん制しました。

これは、ロシア政府が発行する「ロシア新聞」の電子版が19日付けで伝えたものです。
この中で、ラブロフ外相は、北方領土問題の見通しについて質問されたのに対し、「日本人に第2次世界大戦の結果を認めているのかと質問すると、『全体としては認めるが、この問題では認めない』という答えが返ってくる」と述べました。
そのうえで、「日本は第2次大戦の結果に唯一疑問を呈している国で、ほかにそんな国はない。戦勝国が行ったことは揺るぎないものだ」と述べ、日本を批判しました。
北方領土を巡っては、日本政府が「日本固有の領土だ」と主張しているのに対し、ロシア政府は、第2次大戦の結果、ロシアの領土になったとしていて両国の立場は大きく隔たっています。
プーチン大統領の側近で、日本との交流の窓口となっているナルイシキン下院議長が、今月21日まで日本を訪問し、領土問題について取り上げられることが予想されるなか、ラブロフ外相は戦後70年に合わせて戦勝国の立場を強調する形で日本を強くけん制しました。