容疑者やその家族などの関係者に、社会的制裁を加えるためではありません。

そもそも、「疑わしきは罰せず」の刑事司法の原則があり、裁判で罪や罰が確定するまで、無罪の可能性すらあるわけで、制裁を加えてはならないのです。
無罪の場合、取り返しのつかない問題になる可能性もあります。

なぜ、警察が、逮捕した容疑者の名前や住所を公表するのかといえば、それは、警察権力の濫用、横暴を防止するため、です。
警察権力の行使について、私たち主権者が責任を持つために、警察活動について、つぶさに知らしめる必要があるのです。

もし、警察が、正当な理由なく、逮捕した容疑者の名前や住所を明かさない場合、それは、基本的人権の侵害につながり、民主主義社会が危険にさらされる可能性があります。

個人情報が報道されない、少年犯罪においても、警察はマスコミに対しては、容疑者の氏名や住所を説明しているはずです。
マスコミが、それを報道することを法律で禁止されている、ということなのです。

権力を監視する、という、ことです。
マスコミが、民主主義社会において、とても重要な役割を果たしている、ということでもあります。

週刊誌が、逮捕された少年の名前や写真を報道しているそうですが、マスコミの使命を忘れ、私的制裁とも言えるような独りよがりの蛮行と思います。

私たち日本人とその社会は、統治機構の権力から人権を守ること、民主主義の機能を維持するためにたゆまぬ努力をすること、について、本当に認識が薄い、と、感じます。