NHKの籾井会長は、職員への年頭のあいさつで、

「NHKは世の中の意見をリードする立場にはないと思う。ただし、世の中の人たちにあまねく判断材料を提供する、そのためには公平公正、不偏不党の姿勢で報道する必要がある」

と、述べたそうです。

今年は、集団的自衛権についての国会での議論、法整備が予定されていますし、戦後70周年という節目の年でもありますので、ジャーナリズムとしては、きちんと国民に知らせていく義務があると思います。
民主主義の制度がしっかりと機能するためには、その主人公たる国民が、きちんと知っていること、がその大前提となるからです。

そう言う意味では、世の中の意見をリードする役割もある、と、私は信じています。財界や広告代理店が支配する民放では、自由な報道に対して制限が存在する可能性がありますが、NHKはそうではないはずです。

管理側が現政権の思惑を忖度して、制作現場に過度に介入し、報道活動が萎縮するようなことがないよう、私たちはしっかりと監視していかねばならないと思っています。

中国との戦争を拡大し、大政翼賛会を組織し、日独伊三国同盟を締結した総理大臣、近衛文麿は、日米交渉が行き詰まりを示していた大事な時期に内閣総辞職しています。その後、内閣は、東条英機が引き継ぎ、太平洋戦争の開戦につながっていきました。
そして、総理大臣を辞した近衛文麿が、その後、終戦まで、NHKの会長を務めていたことを、私たちは忘れてはいけません。


毎日新聞から

仕事始め:「不偏不党の姿勢で報道」…NHK会長

 NHKの籾井(もみい)勝人会長は5日、東京・渋谷のNHKホールで職員を前に会長就任後初となる年頭あいさつ。「NHKは世の中の意見をリードする立場にはないと思う。ただし、世の中の人たちにあまねく判断材料を提供する、そのためには公平公正、不偏不党の姿勢で報道する必要がある」と述べた。

 その上で、今年で放送開始90年を迎えることを踏まえ、「100年に向かって蓄積と伝統を生かしながら、さらに発展させていく必要がある。前例にこだわることなく新しいことをどんどん取り入れてほしい」などと呼びかけた。