アメリカ軍は、イラク国内だけでなく、シリア国内への空爆を開始したそうです。
その相手をなんと呼べばよいのか。彼ら自身は、アラビア語での、きちんとした名称を持っているようなのですが、まずは、そんなことからも、混乱しています。
日本のマスメディアでは、短く「イスラム国」と呼んでいることが多いように思いますが、欧米のマスコミは「ISIS」と呼んでいます。
*イラクとシリアのイスラム国(Islamic State of Iraq and Syria)の略です。

主権国家の領内への空爆行為は、これは、国際ルールへの挑戦とも言えると思います。
それが、その国の政府を目標としているのではなく、反政府組織を目標としているものであっても。
オバマ大統領は、苦渋の決断をした、ということと思います。

イラク政府がアメリカ合衆国に攻撃を要請し、アメリカ合衆国は「自衛権の行使」として、イラク国内への空爆を行った、との文書を国連に提出しているそうです。

シリア政府は、アメリカ軍の空爆は、本来は自分たちの主権侵害であるので、極端なことを言えば「宣戦布告なき開戦」とも言えるのですが、その後ろ盾となっているロシア政府も含めて、やっかいな反政府勢力の弱体化につながるのであれば、建前はどうあれ、実質的な利益がある、と、計算しているように思います。
つまり、水面下で、アメリカ合衆国は、シリア政府やロシア政府の内諾を得ている、ということです。
さらに、アメリカ合衆国は、彼らに対する一連の軍事行動が、現代の宗教戦争、「21世紀の十字軍」とならないよう、他の中東諸国、イスラム諸国をたくみに巻き込んで、今回の空爆作戦を実施しました。
そこは、なかなか、うまくやるなあ、と、思います。

しかし、空爆は、それほどの効果を示さないだろう、と、思います。
全く効果なし、とは言いませんが。
そして、さらに、彼らは、地上軍の派遣を決断するよう、私たちを挑発するだろう、と、思っています。
気の毒な人質たちの殺害映像や、先進国の平和な街中や航空機などでのテロ行為を行うことによって。
そのような「事件」を起こし、そしてそれが、自分たちの行為であることを、インターネットを使って、高らかに宣言するのでしょう。

こうやって、民主主義国家の市民を挑発するのです。

これは、民主主義という社会の仕組みの弱点をついた巧妙な作戦である、と、私は感じています。

わかっているのなら、その挑発に乗らなければいいのですが、オバマ大統領も「決断」しなければなりませんでした。
これは、解決への端緒ではなく、新たな混迷への落とし穴である、と、私は思います。


産經新聞から

トマホーク47発、波状攻撃14回 米テレビなど報道、最新鋭ステルス投入か

 米中央軍の発表やメディアの報道によると、シリア空爆は23日午前3時半(シリア現地時間)ごろ、紅海やペルシャ湾に展開したミサイル駆逐艦アーレイ・バークやミサイル巡洋艦フィリピン・シーから巡航ミサイルのトマホークを発射して口火を切った。使用したトマホークは計47発。攻撃の第1波は約90分で終わり、14回にわたって波状攻撃を繰り返した。

 ペルシャ湾に展開中の空母「ジョージ・H・W・ブッシュ」からはF18戦闘機が飛び立ち、陸上から発進した戦略爆撃機B1や無人機プレデター、F16戦闘機などがシリア上空で攻撃に参加した。
 米メディアによると、少なくともヨルダンは軍用機を投入。ABCテレビ(電子版)は、最新鋭ステルス戦闘機F22が実戦に初めて投入されたと報じている。
 標的はシリア北東部ラッカなど4都市。「イスラム国」の司令部や訓練・補給施設、新たな構成員を募集している職業斡旋施設など20カ所以上を空爆した。また、米軍はこの攻撃とは別に、シリアでの台頭が懸念される国際テロ組織アルカーイダ系グループ「ホラサン」の北部アレッポ周辺の拠点を8回、攻撃した。 

(引用ここまで)

朝日新聞から

米「空爆は自衛権行使」「イラクから要請」 国連に文書

 イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」のシリア領内の拠点施設の空爆に踏み切った米国のパワー国連大使は23日、空爆は自衛権の行使だとする文書を国連の潘基文事務総長に提出した。テロ組織の攻撃にさらされているイラクの要請を受けた米国が、他国が攻撃された場合に反撃する「集団的自衛権」などを行使したという説明だ。

 文書の提出は23日付。米軍などがシリア空爆に踏み切った翌日で、米国が周到に準備してきたことがうかがわれる。
 米国は文書の中で「イスラム国」の断続的な攻撃を受けてきたイラクが「深刻な脅威に直面している」と国連に報告したと指摘。米国は「イスラム国」の軍事拠点への空爆を主導するようイラクから要請を受けた、と強調している。 

(引用ここまで)

読売新聞から

シリア外務省「テロと戦う努力支持」…米空爆

 シリア外務省は23日、国営通信を通じ、「テロと戦う国際的な努力への支持を表明する」との声明を出し、シリア空爆を容認する姿勢を示唆した。

 米国務省によると、パワー米国連大使がシリアの国連大使に空爆を通告。その際、アサド政権の承認は求めなかった。
 一方、アサド政権を支援するイランの外務省報道官は23日、読売新聞に対し、「空爆は国際法違反。領土権の侵害だ」と非難した。ロシア外務省は23日、声明で「国際法に基づく行動のみ実施できる」とし、国連安保理決議などの手続きを踏んでいないと批判した。

(引用ここまで)

毎日新聞から

シリア空爆:イラン大統領「法的承認なければ侵略」と非難

 【テヘラン田中龍士、カイロ秋山信一】国連総会出席のためニューヨーク訪問中のロウハニ・イラン大統領は23日、シリア国内のイスラム過激派組織「イスラム国」を標的にした米国の空爆について「国連安保理決議か、シリア政府の軍事支援の要請が必要。たとえ多国連合であっても、法的承認がなければ侵略と捉えられる」と述べ、「国際法違反」と非難した。米メディア編集幹部との会見で発言した。

 イランは自国が支援するシリア・アサド政権に対し、空爆を契機に侵攻が及ぶことを警戒している。
 一方でレバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラの指導者ナスララ師は23日、民間テレビ局を通じ演説し、「テロ対策を口実にシリアやイラクに介入することは許されない」と米国主導の攻撃を非難した。
 ヒズボラはシリア内戦でアサド政権側として参戦し、イスラム国とは対立関係にあるが、ナスララ師は「だからといって米国などの空爆は支持できない。米国はテロ対策を口実に地域を支配しようとしている」と主張した。